睡眠の謎を追い続ける医学研究者、柳沢正史さん。
「オレキシン」の発見によって、睡眠と覚醒の研究に大きな進展をもたらした人物です。
2026年〈令和8年〉には、米国の権威ある医学賞「アルバート・ラスカー基礎医学研究賞」を受賞しました。
今回は、そんな柳沢正史さんを取り巻く『家族』の物語です。

◆家族構成・家系図
柳沢正史さんの実家の家族構成は、父親、母親、本人。
兄弟姉妹がいるかは不明です。
自身は、医学研究者の妻との間に3人の娘がいます。

◆父親の助言で医学の道へ
柳沢正史さんの父親は、臨床医であり、電気生理学の研究者でした。
父親から、1970年代の終わりごろ、
これからは生物学、特に分子生物学が面白くなる
という話を聞いたことが、医学の道へ進むきっかけの一つになりました。
医学部へ進めば、人間の生物学について広く深く学べる――。
父親の言葉を受け、正史さんは筑波大学医学専門学群へ進学します。
しかし、もともと研究への興味は、もっと幼いころから芽生えていました。
正史さん自身によると、母親からは、
小学校1年生のときから将来研究者になりたいと言っていた
と聞かされているそうです。
近所の小川へ行っては、水がどのように流れ、どこで渦を巻くのかを1時間ほどじっと観察していました。
身の回りの現象を「なぜだろう」と考える少年。
その好奇心は、やがて医学研究という道につながっていきます。
◆今日の患者ではなく、明後日の患者を治したい
1985年、筑波大学医学専門学群を卒業。
その後、大学院へ進み、基礎医学の研究に取り組みました。
大学院時代には、血管を収縮させる物質「エンドセリン」を発見。
この研究が世界的に注目され、1991年にはアメリカへ渡りました。
そして1998年、正史さんは睡眠と覚醒を制御する神経ペプチド「オレキシン」を発見します。
この発見は、後の睡眠研究を大きく変えることになります。
正史さんが研究者の道を選んだ理由は、

今日の患者ではなく、明後日の患者を治したいから
と、筑波大学のプロフィールに端的に記されています。
目の前の患者を治療する臨床医ではなく、未来の患者を救うための基礎研究。
正史さんは、その道を選びました。
そして2026年〈令和8年〉9月。
オレキシンの発見と、オレキシン欠乏が過眠症・ナルコレプシーにつながることを明らかにした業績が評価され、アルバート・ラスカー基礎医学研究賞を受賞しました。
◆妻・柳沢裕美も医学研究者
柳沢正史さんの妻は、柳沢裕美さんです。
裕美さんも筑波大学医学専門学群の出身で、正史さんの1学年後輩でした。
現在は筑波大学生存ダイナミクス研究センター長・教授を務め、血管の生物学と病態を専門とする基礎医学研究者です。
1991年には正史さんとともにアメリカへ移住。
裕美さんはテキサス大学サウスウェスタン医学センターで研究を続け、24年間にわたって研究室を主宰しました。
その後、母校・筑波大学に戻り、2015年から教授を務めています。
夫婦そろって医学研究の道を歩みながら、現在も筑波大学で研究を続けているのです。
そんな2人の結婚には、信仰にまつわるエピソードもあります。
裕美さんの母親がクリスチャンだったことから、2人は教会で結婚式を挙げることになりました。
正史さんも教会へ通うようになり、結婚の1か月前に洗礼を受けています。
科学の世界で研究を続けてきた正史さんにとって、人生の大きな節目となった結婚は、新しい信仰との出会いでもありました。
◆3人の娘
正史さんと裕美さんには、アメリカで暮らす3人の娘がいます。
長女は外科医、次女はWWF(世界自然保護基金)のウェブサイトデザイナー、三女は獣医として、それぞれの仕事に就いています。
研究者として世界の睡眠研究をリードしてきた正史さんですが、娘たちの話になると、表情は一人の父親に戻ります。
2024年〈令和6年〉に「徹子の部屋」に出演した際には、仕事をしながら子育てをする娘たちについて、

うちの娘たちはちゃんと寝ているのかな
と話しました。
睡眠を研究してきた父親だからこそ、離れて暮らす娘たちの「眠り」が気になるのでしょう。
◆4人の孫を持つ祖父
3人の娘たちは、それぞれ自分の人生を歩んでいます。
そして長女には3人の子供がおり、三女にも1人の子供がいると紹介されています。
つまり、正史さんには4人の孫がいるのですね。
世界的な研究者として賞を受ける一方で、家庭では娘たちの睡眠を心配する父親であり、孫を持つ祖父でもある。
そこには、研究室では見られない柳沢正史さんの素顔があります。
◆エピローグ
柳沢正史さんが研究者への道を歩み始めた背景には、父親の存在がありました。
そして人生の大きな転機で出会ったのが、同じ医学研究の道を歩む妻・裕美さんでした。
夫婦となった2人はアメリカへ渡り、それぞれの研究を続けます。
3人の娘も成長してそれぞれの人生を歩み、4人の孫も誕生しています。
父親から受け取った医学への道。
妻とともに歩んだ研究者人生。
そして、娘や孫へと続いていく家族の時間。

未来の患者を治すために——。
家族の応援を胸に、柳沢正史さんの挑戦はこれからも続いていきます。
◇出典
- 毎日キレイ 2024年〈令和6年〉4月12日 「柳沢正史:娘3人、孫4人、妻は大学教授 注目の睡眠学者が『娘たちはちゃんと寝ているのかな』と父の顔 『徹子の部屋』で」
- Nature Japan 「『私』とNature―柳沢正史氏:“ねむけ”の謎を解明したい」
- 筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 柳沢正史プロフィール
- 筑波大学 2026年〈令和8年〉9月9日 「2026年アルバート・ラスカー基礎医学研究賞」
- 筑波大学 TSUKUBA FRONTIER #027 「血管の異常を引き起こすシグナルを探して」
- クリスチャン・プレス 柳沢正史さんインタビュー




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