引きこもりから脱出する3つの方法~年代別の原因や支援策からリアルに考える

近年、社会問題となっている、引きこもり

ニュースで見ているかぎりは他人ごとですが…

身内に引きこもりが発生すると、きわめて深刻な問題ですよね

今回は、引きこもりの原因支援策を分析し、引きこもりから脱出る3つの方法を導き出していきます。

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◆引きこもりとは?

①引きこもりの定義

そもそも、引きこもりとはどういった状態を指すのでしょうか?

厚生労働省は、引きこもりを、

仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6ヶ月以上続けて自宅に引きこもっている状態

と、定義づけています。

「交流をほとんどせずに」なので、

コンビニだけは行くよ!

というような人も、引きこもりに含まれます。

②準引きこもり

さらに、準引きこもりという言葉もあります。

準引きこもりとは、

ふだんは家にいるが、自分の趣味に関する用事の時だけ外出する

と、定義されています。

趣味で外に出るのに、引きこもりといえるの?

そうですよね、外出できるんなら、引きこもりじゃない気がします。

しかし、ここにカテゴライズされる人たちは、外出しても、他人とのコミュニケーションを持ちません。

「コンビニだけは行くよ!」という人々と、実態は変わらないのです。

このため、政府や自治体が調査する「引きこもり」には、「準引きこもり」が含まれています。

◆引きこもりの総数と年代別割合

①引きこもりの総数

内閣府の2015年12月の調査では、全国の引きこもりの数は、推計54万1,000人でした。

しかしこの調査は、15歳〜39歳までの若年層しか対象となっていません。

中高年もかなり多いんじゃないか?

多くの人や専門家がこのように考えていたので、2015年以前の調査は「実態を表していない」と批判を浴びています。

そこで内閣府は、2018年12月、40歳〜64歳を対象とする初めての調査を行いました。

すると驚いたことに、40歳〜64歳の引きこもりの人は若年層より多く、推計で61万3,000人となることが分かったのです

調査時点は事なるものの、全国の引きこもり総数は、合わせて115万4,000人です。

日本の人口の約1パーセント―――

ちなみに、島根県の人口は約56万人で、他にも人口が100万人を切る都道府県は9県あります。

1つの県のすべての人が、引きこもりであることを想像してみてください

引きこもり総数の115万人が、決して少なくない数であることが分かりますよね。

②引きこもりの年代別割合

上記の115万4,000人を年代別に見ると、次のようになります。

割合
10歳代 55,182 4.8%
20歳代 265,090 23.0%
30歳代 220,728 19.1%
40歳代 234,779 20.3%
50歳代 221,906 19.2%
60歳代 156,315 13.5%
1,154,000 100.0%

もともと、調査時点が異なる統計を合算しているので、おおまかな参考値としてお考えください。

20歳代が一番多いですね。

次いで、40歳代、50歳代、30歳代…と続いています。

いわゆる中高年である40歳代以上の割合は、53パーセントになります。

③都道府県の引きこもり調査

内閣府の調査とは別に、独自に引きこもりの調査している都道府県もあります。

都道府県の調査のうち、内閣府と同じレベルで数字を抽出できる5県(岩手、山梨、島根、愛媛、大分)のデータを合計すると、以下のようになります。

【5県合計】

割合
10歳代 227 4.4%
20歳代 612 12.0%
30歳代 1,059 20.7%
40歳代 1,274 24.9%
50歳代 894 17.5%
60歳代以上 891 17.4%
不明 161 3.1%
5,118 100.0%

5県の調査では、20歳代の割合が低く出ていますね。

しかし、40歳代以上の引きこもりが過半数を超える(59.8%)という点は、全国の調査と一致しています。

◆引きこもりの年代別原因

それではお尋ねします。

引きこもりの原因って、何だと思いますか?

心が弱い人が引きこもりになるんじゃないかねぇ…

そういうイメージありますよね。

しかし引きこもりは、

  • 生物学的脆弱性(ストレスなどに弱い性質)
  • トラウマ(精神的外傷)

との関連については、指摘されていないそうです。

そして、内向的な人・非社交的な人は、ひきこもりになりやすい傾向があります。

しかし、社交的な人が引きこもりにならない訳ではないため、結局は誰でも引きこもりになりえるのですね。

それでは、年代別の引きこもりの原因を見ていきましょう。

①10代の引きこもり原因

引きこもりの大きなきっかけの一つは「不登校」です。

平成29年度における全国の不登校生徒は、小学生35,032人、中学生108,999人、高校生49,643人、合計193,674人となります。

鳥取市(190,090人)や甲府市(189,589人)の人口と同じくらいですね。

どちらも県庁所在地で、決して少なくない人数です。

この年代のトラブルとしては、

  • 友人関係が上手くいかない
  • イジメに遭っている
  • 学校や教師が好きになれない
  • 授業について行けない
  • 部活や先輩がキツイ

などが考えられます。

これらが嫌になり、悩める10代は、まずは不登校になります。

その後、そのまま退学となるか学校を卒業してしまって、本格的な引きこもりになっていくのです。

②20代の引きこもり原因

大学や短大、専門学校を出て、初めて社会に出る年代が20代です。

特に大学生は、まわりの学生や教師との関係が希薄でも、順調に通学できるため、準引きこもりが多いと言われています。

また、この年代の女性は、家にいても「家事手伝い」などと称されるため、引きこもりとの区別がつきにくいという特徴もあります。

このように「大学」や「家事手伝い」の隠れ蓑にいた人たちは、社会に出た瞬間に弾き飛ばされてしまいます。

そして、他人との接触を避けるようになり、青年たちは引きこもっていくのです。

また当然、10代で引きこもりとなった人たちが、20代でも引きこもり続けるというパターンも存在します。

③30代以降の引きこもり原因

もう一つ、ひきこもりのきっかけとして大きいのが「退職」です。

退職による引きこもりは、近年増加傾向にあります。

30代の退職は、自主的なものが多いかもしれませんが、40代からはリストラが見えてきます。

50代、60代ならば、定年退職によるものも多いでしょう。

いずれにしても、仕事をしてお金を稼ぐと言うことは、大きな自信を与えてくれるものです。

ある程度の役職に就けば、周囲は自分を立ててくれるようになります。

それが、退職によってその立場が突然なくなってしまうため、自分に自信が持てなくなり、引きこもりとなってしまうのですね。

また、親が年を取ってくるのもこの年代。

この年代でも、引きこもりの人たちには収入がないため、親の経済力に頼っているケースが多いです。

引きこもりの多くが低年金、無年金という現実の中、親が亡くなったあとはどうなるのでしょうか?

本人や親たちにもその焦りがありますが、だから改善していくのは一握りです。

残りの人たちは、生活保護に頼らざるを得ませんね。

そうして、生活保護受給者が数十万の単位で増えてしまうと、社会保障財政を強く圧迫することになります。

◆引きこもりから脱出する3つの方法

①心療内科的アプローチ

引きこもりから脱出する方法の一つとして、心療内科的アプローチが考えられます。

病院へ行くということですね

病院は、病床をもつ精神科病院よりも、駅前などにある心療内科クリニックの方が、通院の負担が少ないでしょう。

ひきこもりの治療は、

  1. 家族相談
  2. 個人療法
  3. 集団適応支援

の順番で行われます。

治療といっても、医学的に難しいことをする訳ではなく、本人との信頼関係を築きながら、家族や社会との関係を調整していくものです。

ただし、引きこもりの背景に統合失調症発達障害が潜んでいる場合があります。

当然、精神医学的な治療が必要です。

このケースにおいては、心療内科的アプローチは、唯一の有効な手段となります。

②行政的アプローチ

引きこもりから脱出する2つめの方法は、行政的アプローチです。

厚生労働省は「ひきこもり地域支援センター」を各都道府県と政令市に1カ所ずつ設置しています。

ひきこもり地域支援センターでは、臨床心理士・社会福祉士・精神保健福祉士などの専門職が、

  • 電話相談
  • 面接相談
  • 家族教室の開催
  • 家族サロンの開設
  • フリースペースの提供

など、様々な支援を行っています。

2018年度からは、もっと身近な市区町村でも相談窓口の設置が進むよう、補助事業(ひきこもり対策推進事業の強化)を始めました。

引きこもりに悩む本人や家族は、これらの機関を活用して、

まずは外につながること

が大切です。

しかし、行政的アプローチにも限界があります。

年間約2000件の相談を受ける、千葉市ひきこもり地域支援センターの担当者は、

暴力が伴うケースでは介入が難しい。本当に危険なら警察や高齢者虐待の相談機関に通報するしかない

と話しています。

暴力以外にも、深刻な引きこもり相談を、お役所仕事でどこまで対応できるのかには疑問も残ります。

③民間的アプローチ

上記の医学的、行政的アプローチは専門的で強力ですが、相談者との距離があったり、小回りが利かないなどのデメリットもあります。

これらのデメリットを埋める方法が、3つ目の民間的アプローチ

引きこもりの家族会は、NPOなど民間主宰のものが各地にあり、電話相談や居場所作りをしています。

民間の支援団体は、保健・福祉分野の専門職や精神科医師のような肩書きを持ちません。

しかしそのことが、相談者の緊張感を和らげたり、「病人扱いされる」といった被害感を抱かせないことがメリットですね。

一方、民間団体のデメリットは、支援能力や実態にバラツキがあることです。

  • 就労支援プログラムを受けられなかったのに500万円を請求された
  • アパートに監禁され、殴る蹴るの暴行を受けた

など、民間支援業者とのトラブルが報告されています。

民間の場合は、事業者選びが大切ということですね

一つ、例に挙げると、『オンラインカウンセリングあらいぶ(https://jpspo.jp/)』という団体があります。

ここは、活動実績もHPでしっかりと開示していて、さらにオンラインだから取っ付きやすいというメリットがありますね。

オンラインの無料カウンセリングもあるので、まずは無料で試されてみてはいかがでしょうか?

◆まとめ

引きこもりの対応の基本は「引きこもった原因を探すこと」ではありません。

引きこもり状態から脱出することを阻害している要因を見つけ出し、その阻害要因をひとつひとつ取り除いていくことです。

そして、大きな阻害要因のひとつが、家族の誤った対応であることが少なくありません。

家族が、引きこもりに直面した時は、一人で悩み、または家族だけで考えるのではなく、専門家や支援団体に相談することが大切です。

そうすることによって、過度に追い詰められることを防ぎ、正しい対応を検討することができるのです。

あなたは一人ではありません、応援しています。

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