2017年2月13日、北朝鮮の最高指導者・金正恩(キンム・ジョンウン)氏の兄・金正男(キム・ジョンナム)氏が死亡したことが明らかとなりました。
今回は、金正男氏の一族をご紹介し、死亡した経緯にスポットを当てたいと思います。
◆出身
金正男氏は、1971年5月10日、北朝鮮の平壌で生まれました。
正男氏の父と母は、正式な結婚ではなかったため、正男氏の幼少期は、その存在を外部に知られないようにして育てられました。
スイス・ジュネーヴのインターナショナルスクールに留学歴があると言われていますが、詳細は分かっていません。
12歳から14歳までは、ソビエト連邦のモスクワで暮らしていたということです。
1995年からは、中華人民共和国の北京で暮らし、上海の経済発展ぶりを見て、北朝鮮の改革開放を志すようになります。
言葉は、母国語の朝鮮語の他に英語やフランス語を操り、またロシア語、中国語もある程度話せるのだとか。
日本語については、日本人記者の「日本語は分かりますか?」という質問に、
日本語ワカリマセン
と答えたことがあります。
◆父親・金正日氏
金正男氏の父親は、金正日(キム・ジョンイル)氏。
北朝鮮を建国した金日成(キム・イルソン)氏の長男であり、北朝鮮の第2代最高指導者を務めた人物です。
1942年2月16日に革命の聖地「白頭山」で生まれたとされますが、本当はソ連の極東地方で生まれたとも言われています。
父・金正日氏は、正男氏を隠して育てましたが、一方で尋常ではないほどの愛情を注ぎました。
正男氏の幼少期には食卓の上に座らせ、かわいらしいしぐさを眺めながら食事をしていたそうです。
金正日氏の最高指導者としての顔はよく知られているので、ここではその横顔をご紹介していきます。
【映画好き】
金正日氏は、平壌中心の高台に「国家映画文献庫」 という映画の文献庫を持ち、およそ2万巻のビデオテープを所有する映画マニアでした。
日本映画では『ゴジラ』『男はつらいよ』のファンで、東宝の特撮スタッフを招いて『プルガサリ』という怪獣映画をプロデュースしたこともあります。
また、北朝鮮の映画産業のために韓国の映画監督申相玉とその妻で女優の崔銀姫を拉致し、『プルガサリ』の制作に参加させています(^_^;)
【ゴルフの名手?】
金正日氏は、1994年に会員制の平壌ゴルフ場で、生まれて初めてゴルフをラウンドし、
18ホールで11のホールインワンを記録し、スコアは38アンダーの34をマークし、世界記録を樹立した
という記録があるそうです(^_^;)
【グルメ?】
金正日の料理人・藤本健二氏によれば、フカヒレ料理や、寿司やすき焼き、鰻丼なども好物であったそうです。
また、日清食品の「ラ王」も好物で、マヨネーズはキユーピー、醤油はキッコーマンにこだわっていました。
◆母親
金正男氏の母親は、成蕙琳(ソン・ヘリム)さん。
1937年1月24日生まれなので、父・金正日氏より5歳年上になります。
平壌映画大学を卒業し、女優として活動。
2人の結婚は、
- 映画女優という職業が、政治家の夫人には適切では無いこと
- 蕙琳は結婚し、夫も子供も居ること
- 韓国生まれで、のちに北朝鮮に来た複雑な家族環境
という理由で、あまり祝福されていません。
2002年5月18日、母・蕙琳さんはモスクワで死亡したと伝えられています。
お墓はモスクワの共同墓地にあり、墓碑にはハングルで「成蕙琳の墓」、裏面には「墓主金正男」と記されているそうです。
◆姉(長女)
金正男氏には、金恵敬さんという姉(長女)がいます。
金恵敬さんは、父・金正日氏と最初の妻との間にできた子供であり、異母姉ということになります。
◆弟(次男)は金正哲氏
金正男氏には、金正哲(キム・ジョンチョル)氏という弟(次男)がいます。
正哲氏は、1981年9月25日生まれで、正男氏より10歳年下。
正哲氏の母親は、大阪鶴橋生まれの在日朝鮮人二世・高英姫さんなので、正男氏とは異母兄弟ということになります。
政治に関心がなく、役職もない。音楽に関心があり、有能なギタリストだ
とされる正哲氏は、後継者争いにも距離を置いていました。
2006年には、ドイツを旅行中に開催されたエリック・クラプトンのコンサートに、4日間全て訪れた様子が伝えられています。
この頃に正哲氏は、クラプトンのピョンヤン公演を画策し、会場まで決まっていましたが、クラプトン側が
独裁体制で公演した初の有名ミュージシャン
とされるのを警戒し、実現していません。
2015年5月20日にも、ロンドンで開催されたエリック・クラプトン公演に姿を現しているそうです。
◆弟(三男)は金正恩氏
金正男氏の二番目の弟は、金正恩(キム・ジョンウン)氏。
1984年1月8日生まれなので、正男氏より13歳年下で、母親は正哲氏と同じく高英姫さんです。
金正恩氏は、三男ながら後継者争いに勝利し、現在、北朝鮮の最高指導者を務める人物。
冷酷な指導者としてのイメージが強い正恩氏ですが、少年期を過ごしたスイス時代は、温厚でクラスメートからの人望も厚かったのだとか。
また、当時はバスケットボールに熱中しており、マイケル・ジョーダンやトニー・クーコッチらに憧れる、普通の少年でした。
007シリーズの映画が好きで、日本やアメリカの漫画が好きでよく読んでいたという証言も。
髪型は、側頭と後頭を上まで短くした「刈り上げヘア」が特徴的ですが、上面の髪はパーマをかけてコテで巻き込んでいるそうです。
自身はこの髪型を
「覇気ヘア」「野心ヘア」
と称していますが、黒電話の受話器のような輪郭をしているため、国外では
テレホン・ヘッド
と揶揄されています(^_^;)
◆妹(次女、三女、四女)
金正男氏には、三人の妹がいます。
金雪松 さん(次女)と金英順さん(三女)は、金正日氏の三番目の妻・金英淑さんの子供。
金与正さん(四女)は、正哲氏・正恩氏と同じく、高英姫さんの子供です。
◆妻とその子供
金正男氏の夫人の名前は、崔恵里(チェ・ヘリ)さん。
2人の間には、息子の東換(トンファン)さんがおり、母子は北京に住んでいると言われています。
◆第二夫人(愛人)とその子供
金正男氏には第二夫人(愛人)もおり、名前は李恵慶(イ・ヘギョン)さん。
恵慶さんはずば抜けた美貌の持ち主で、北朝鮮の芸術公演団出身。
ブランド好きとして知られ、全身をプラダやグッチで固めているのだとか。
第二夫人との間には、息子の金漢率(キム・ハンソル)さんと、娘の金率姫(キム・ソリ)さんがいて、マカオに住んでいるそうです。
◆第三夫人(愛人)とその子供
金正男氏には第三夫人もいて、名前は明羅(ミョンラ)さん。
第三夫人との間には、娘の現慶(ヒョンギョン)さんが生まれています。
◆まとめ
2011年12月17日、父・金正日氏は、心筋梗塞のため70歳で亡くなりました。
後継者争いに敗れ、マカオに住んでいた金正男氏は、父の死をテレビで知ります。
直後、正男氏は偽名のパスポートを使い、本国に帰国。
父の霊前との対面を果たし、家族とともに別れを告げました。
この時、正男氏と正恩氏の間で、どのような会話が交わされたのでしょうか?
思想が異なる兄弟の争いを、父・金正日氏は悲しんでいたかもしれません。
今ごろ、久方ぶりの父子の再会を果たしていることでしょう。
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