柔道女子78キロ超級で東京オリンピックに出場する、素根輝選手。
今回は、そんな素根選手を競技人生を支えた、兄や実家の家族にスポットを当て、ご紹介します。
◆5人兄弟の末子
素根輝選手は、5人兄弟の末っ子に当たります。
きょうだいの構成は、姉、兄、兄・兄(双子)、素根選手の順番です。
◆長兄・勝さん
①長兄・勝さん
素根きょうだいの長兄の名前は、素根勝(そね・まさる)さん。
年齢は今年(2020年)で、24歳になります。
兄・勝さんは、福岡県立南筑(なんちく)高等学校を卒業後、福岡医療専門学校に進みました。
南筑高校ときいて「ピン!」ときた方は、かなりの通ですね。
実は、元チェッカーズの藤井フミヤさんも南筑高校の出身なのです。
②長兄の献身的なサポート
長兄の勝さんは、身長162cm・体重95kgで、素根選手とほぼ同じ体格。
そのため、素根選手の乱取りの相手は、いつも勝さんがつとめています。
4分×15本=60分が基本メニューですが、20~30分延長するのがいつものパターン。
素根選手が納得するまで延々とやるので、
もうやめておきなさい
と言われることもあるのだとか。
また、勝さんは、柔道整復師(じゅうどうせいふくし)の資格を持っているため、試合の合間にはマッサージを受け、緊張をほぐしてもらいます。
柔道整復師とは、
打撲(だぼく)・捻挫(ねんざ)・脱臼(だっきゅう)・骨折などのケガに対して、医療的手技を使用せずに整復・固定などを行い、人間の持つ治癒(ちゆ)能力を最大限に発揮させる施術を行う資格
で、高校卒業後、都道府県知事が指定した専門の養成施設(三年間以上修学)で学ぶ必要があります。
長兄の勝さんが通った福岡医療専門学校には、柔道整復科がありますからね。
さらに勝さんは、素根選手の海外遠征にも同行し、セコンドとして、付き人として、妹をサポート。
試合と練習の合間には、素根選手の要望にこたえて、ドライブの運転手もつとめます。
素根選手は、
お兄ちゃんのためにも優勝したい
と、厚い信頼を口にします。
精神的にも肉体的にも、勝さんは素根選手にとって、なくてはならない大事な存在となっています。
③長兄は岡山にも帯同
2019年春。
素根輝選手は、大学進学のために岡山県へ行くことになりました。
精神的・肉体的支柱である、長兄と離れることになるのでしょうか?
ところがどっこい、
人生を変えてくれた人。尊敬してます
と妹をたたえる勝さんは、専門学校を休学して、岡山へ移り住みます。
岡山市内の整骨院で働きながら、引き続き練習をともにしているのだそうです。
勝さんの私生活を少しだけご紹介すると、2018年に結婚して、11月には娘さんが生まれています。
◆双子の次兄・三兄
素根きょうだいの次兄・三兄は、なんと双子の兄弟。
名前は、素根大誠さん、素根健誠さんといって、年齢は素根選手より2歳年上です。
素根選手は小学校のとき、双子の兄のどちらかと、Tシャツを破るほどの取っ組み合いのけんかをしたことがあるのだとか。
ふだんは穏やかな素根選手ですが、やり出したら引かない性格なのですね(^_^;)
また、兄の大誠さんは中学生のとき、山口県の学校に通っていました。
柔道の強豪にスカウトされたのでしょう。
しかし一度、救急車で運ばれて意識がなくなったことがあり、家族で車で高速道路を飛ばして駆けつけたことがあります。
幸い大事には至りませんでしたが、そういう事もあったせいか、高校は2人とも地元の南筑高校を出ています。
◆姉もいる
あまりメディアに登場しませんが、素根輝選手には、お姉さんもいます。
幼いころの写真を見ると、5人きょうだいでお姉さんが一番上みたいですね。
◆父親の職業は?
①父親の職業は?
素根輝選手の父親の名前は、素根行雄さん。
年齢は、今年(2020年)で58歳になります。
父・行雄さんの職業は、美容店を経営。
そして、美容店の一室にはトレーニング場が設けられ、素根選手はそこで夜遅くまで、打ち込みや筋力トレーニングなどを重ねました。
父・行雄さんも、柳川高等学校で柔道をやっていた経験者です。
身長169㎝の行雄さんは、素根選手も小柄な選手になると予想し、担ぎ技を素根選手に教え込みました。
今でも素根選手は、担ぎ技である「体落」が得意ですね。
②柳川高校といえば
柳川高校と言えば、藤井フミヤさんとチェッカーズで仲間だった高杢禎彦(たかもく・よしひこ)さんも、ここの卒業生です。
また、東京オリンピックで露出増加が予想される、松岡修造(まつおか・しゅうぞう)さんも柳川高校ですね。
柔道家でいえば、10代で全日本選抜体重別選手権の3連覇を達成した、阿武教子(あんの・のりこ)さんも柳川高校でした。
素根選手は阿武さんに対して、強い思い入れを持っています。
阿武さんも素根選手と同じく、階級の中では小柄な方でした。
また、実兄が練習相手として支えてくれる点や、担ぎ技に活路を見いだす点なども共通しています。
2019年4月、素根選手と阿武さんにもう一つ共通点が加わりました。
素根選手も18歳で、全日本選抜体重別選手権の3連覇を達成したのです。
③普通の父と娘
素根輝選手の座右の銘は「三倍努力」。
これは父親の行雄さんから、
背は高くない。周りより努力しないと勝てない
との思いから贈られた言葉です。
素根選手と父・行雄さんは、現在、岡山県と福岡県で離れて暮らしています。
しかし行雄さんからは電話やLINEで、独自に調べた対戦相手の組み手や得意技といった情報が送られてきます。
素根選手はそんな父親に、
理にかなったアドバイスをしてくれる
と感謝しています。
柔道一色に見える父と娘の関係ですが、意外にもそうではない一面もあります。
名前の「輝」は、父・行雄さんが名づけましたが、
何をしてもいいから輝いてほしいと願って名付けた子。女の子やけん、絶対に柔道をさせたいなという感じではなかった
ということ。
特に柔道にこだわっていた訳ではないのですね。
また行雄さんは、
親心からしたら、東京五輪で金メダルを取ったら『もういいよ』と言いたい。私たちの目標なので
とも話しています。
そこには、娘の普通の幸せを願う、普通の父親の思いもあるのでしょう。
◆同居する母親
素根輝選手の母親の名前は、素根美香さん。
年齢は、今年(2020年)で53歳になります。
ちなみに身長は154cmということなので、お母さんもそんなに大きくないですね。
母・美香さんは、素根選手の大学進学に合わせて、岡山で同居しています。
娘の好物で疲労回復にも良いトンテキを作るなど食生活を支え、精神面のサポートもしているのです。
父・行雄さんは父親というより指導者なので、母親は何でも話せる「心のより所」なのですね。
2018年のクリスマスに、素根選手が母親へ贈ったサインがあります。
「三倍努力」の座右の銘とともに「ママヘ」と記されており、父親と母親、両方に対するリスペクトが感じられるエピソードだと思います。
◆久留米の実家で育んだ柔の道
素根輝選手は、福岡県久留米市の出身。
実家は美容店を経営していますが、久留米市には700以上の美容室があり、どこの美容室なのかは分かりません。
①小学校時代
素根輝選手は小学校1年生の夏、7歳の時に久留米市の脩柔舘山内道場に入り、柔道を始めました。
それまではピアノと水泳を習っていたそうなので、父・行雄さんの方針(何をしてもいいから輝いてほしい)と合っていますね。
しかし結局、素根選手を熱くさせたのは柔の道でした。
柔道熱を点火させたきっかけは、デビュー約3カ月後に出た大会でのこと。
1回戦で自分より小さな子に攻め込まれ、顔を打って傷だらけになった末に判定負けしたのでした。
負けて悔しがる娘に対し「頑張ろう」という意味で、父・行雄さんは一本背負いを教えました。
そうしたら、北九州市で行われた西日本少年大会で、いきなり3位に勝ち上がります。
才能を見いだした行雄さんは、素根選手が小学2年になると、経営する美容店の一室にトレーニング場をつくり、道場の稽古がない日も子供たちを指導するようになりました。
柔道一本に、ということで、通っていたスイミングスクールもやめた。毎日結ぶのは大変ということで、長かった髪が短くなった
柔道一本に打ち込んだ結果、小学6年生のとき、全国小学生学年別柔道大会45kg超級で優勝を飾り、小学生で日本一を経験しています。
②中学校時代
素根輝選手は、久留米市立田主丸(たぬしまる)中学校へ進学。
進学後に出場した第44回全国中学校柔道大会70kg超級では、中学校1年生ながら準優勝しました。
第45回(中学校2年生)、第46回(中学校3年生)の全国中学校柔道大会では個人で優勝し大会2連覇。
団体戦にも出場し、田主丸中学校の初優勝に貢献しました。
③高校時代
高校進学時には、他県の強豪校からも誘いが多数ありました。
しかし、兄・大誠さんで心配した経験がある両親は、自宅から通える学校への進学を望みました。
素根選手も、
地元で活躍したい
という思いがあったため、3人の兄たちが通った福岡県立南筑高等等学校へ進学しています。
高校時代の素根選手は実績が多すぎるため、優勝だけご紹介します。
- 2017年3月 全国高等学校柔道選手権大会 女子無差別級 優勝
- 2017年4月 全日本選抜柔道体重別選手権大会 78kg超級 優勝
- 2017年7月 金鷲旗高校柔道大会 女子団体 優勝
- 2017年8月 全国高校総体(インターハイ) 78kg超級 優勝
- 2017年10月 世界ジュニア選手権大会 78kg超級 優勝
- 2018年5月 グランプリ フフホト 78kg超級 優勝
- 2018年7月 金鷲旗高校柔道大会 女子団体 優勝
- 2018年8月 アジア競技大会 78kg超級 優勝
高校生の大会よりも全世代の実績が、国内よりも世界的な実績が増えてきていますね。
素根選手が世界的な選手になってからも、父・行雄さんは基礎的なトレーニングを課し、親身になって指導を続けました。
それに素直に従う素根選手。
素根選手の強さは、初心を忘れない精神にあるのかもしれません。
④大学から実家を出る
素根輝選手は高校卒業後、岡山県岡山市にある環太平洋大学へ進学しました。
環太平洋大学の柔道部は、バルセロナ五輪男子71kg級金メダリストの古賀稔彦(こが・としひこ)氏が総監督を務める、西日本屈指の強豪校です。
多数の実業団や大学から勧誘される中、
今後の練習方針が一番明確だった
と、環太平洋大学を決めた理由を語る素根選手。
しかし、長兄と母親のサポートが岡山で継続される見通しが立たなかったら、結論は違うものになったのかもしれません。
◆まとめ
これまで見てきたとおり、素根輝選手の活躍の陰には、温かく支えてくれた『家族』の姿がありました。
これからも家族の応援を胸に、素根選手の挑戦は続いていきます(^o^)丿
◇編集後記
素根輝選手は、タレントの渡辺直美(わたなべ・なおみ)さんに似ていると言われています。
本当でしょうか、ちょっと比べてみましょう。
(素根輝選手)
柔道の素根輝、五輪への思い強く 新年恒例、講道館の鏡開き式 | 共同通信
昨夏に初の世界女王となった素根は多くの参加者にサインを求められ「いろんな方が応援してくれている。本当に頑張らないといけない」#柔道 #講道館 #鏡開き #素根輝 https://t.co/ctvKpCS3xT
— 柔道ジャーナル (@JudoJournal) January 12, 2020
そんなにソックリとは思えませんが(^_^;)
お2人とも目鼻立ちがハッキリしているので、雰囲気が似てくるのかもしれませんね。
柔道五輪日本代表!
コメント