昭和のヒットメーカーとして名高い、作曲家の平尾昌晃(ひらお・まさあき)さん。
2017年7月に亡くなりましたが、平尾さんの相続はもめる要素が多く、当時、多くのマスコミを賑わせました。
そこで今回は、平尾さんの相続のケースを考えてみたいと思います。
◆相続人は3番目の妻と3人の息子
平尾昌晃さんは生前、3回結婚しています。
- 最初の妻 服部暁子さん…離婚後死去
- 2番目の妻 小沢深雪さん…1980年代半ばに離婚
- 3番目の妻 Mさん…亡くなる4年前に結婚 [1]
そして、3人の子供に恵まれました。
- 長男 母親は服部暁子さん
- 次男 平尾亜希矢さん…母親は小沢深雪さん
- 三男 平尾勇気さん…母親は小沢深雪さん
平尾さんは、3番目の妻との婚姻中に亡くなりました。
この場合、法定相続人は「3番目の妻」「長男」「次男」「三男」の合計4人となります。
◆遺言書の内容は?
実績を残した芸能人や有名人は、遺産の金額も大きくなり、相続トラブルが起きやすくなります。
そのため、生前に遺言書で遺産の分配方法を指定し、トラブルを避けるケースが多いです。
しかし平尾さんの場合、遺言書は残されていませんでした。[2]
◆遺産総額は60億円!
平尾昌晃さんと言えば、
- 瀬戸の花嫁
- よこはま・たそがれ
- カナダからの手紙
など、数々のヒット曲で知られる作曲家。
所有する著作権の印税は、年間約1億円に上るとみられ、平尾さんの死後50年間は保護されます。
社屋ビルなどの資産も、約10億円に上るとみられます。
遺産の総額は、60億円ということになります。
ちなみに2018年に著作権法が改正され、50年間⇒70年間に延長されています
◆遺産バトル勃発
上記の遺産は、個人名義ではなく、平尾昌晃さんが所有する法人2社に権限がありました。
- エフビーアイプランニング 著作権管理
- 平尾昌晃音楽事務所 マネジメント会社
3番目の妻・Mさんは、平尾さんが亡くなった3ケ月後の2017年10月に、2社の代表取締役に就任。
この動きに反発した息子3人は、2018年9月26日の臨時株主総会で、Mさんをエフビーアイプランニングの取締役に選任しませんでした。
当然、Mさんは代表取締役になることもできず、代わって次男・亜希矢さんが代表取締役に就任します。
平尾昌晃音楽事務所の方は、発行済み株式の85%分について、
株主が確定できない
との理由から総会の議事に入れず、Mさんは代表取締役に留任しました。
この件については三男の平尾勇気さんが、Mさんの職務執行停止を求める仮処分を東京地裁に申し立てましたが、2019年2月に却下。[3]
東京高裁へ不服を申し立てましたが、2019年6月11日に棄却されています。[4]
◆まとめ
という訳で今回は、平尾昌晃さんに関する相続トラブルを見てきました。
最終決着はまだついていませんが、金額が巨大なだけに、裁判でも何でも徹底的にやるしかないと思います。
多くの人が関係するビジネスの面がある以上、美辞麗句を並べて解決するレベルではないのです。
◇脚注
- 週刊朝日 2018年10月19日号 平尾昌晃「60億円」遺産めぐり 3人目の妻と三男が骨肉バトル
- 週刊FLASH 2019年2月26日号 相続トラブルなぜ起きる「平尾昌晃」前妻の子と後妻が争族に
- SANSPO.COM 2019年2月16日 平尾昌晃さんの遺産問題で三男・平尾勇気が仮処分申請却下で不服申し立てへ 25日に会見も
- デイリースポーツ 2019年6月14日 平尾勇気側の仮処分申請を棄却 「引き続き訴訟を検討中」
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