実家を相続して売却する迄にかかる4種の税金~①相続税 ②譲渡所得税 ③登録免許税 ④印紙税

今回は、実家を相続した後、売る迄に発生する、4種類の税金をご紹介していきます。

相続するまでの手順はこちらの記事をご参照ください。

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◆相続した実家を売却する迄にかかる4種の税金

関連する税金は、以下の4種類となります。

①相続税

まず、実家を相続したときは、相続税を考える必要があります。

相続税は、まず全体で課税されるかどうか。

2018年に亡くなった人は、全国に136.2万人います。

そのうち、相続税の申告書を提出されている被相続人数は11.6万人なので、相続税が申告される割合は 1割未満です。

つまり、9割以上のケースでは相続税が発生しないのです

相続税の基礎控除額の計算式は、

3,000万円+法定相続人の数×600万円

となります。

仮に法定相続人が3人の場合は、

3,000万円+3人×600万円=4,800万円

が基礎控除額なので、相続財産が4,800万円を超えなければ、相続税は発生しません。

残念ながら相続税が発生する場合、税率はこうなっています。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

ただし、配偶者には「配偶者控除」が適用されます。

配偶者控除は、

  • 配偶者が相続した遺産が1億6,000万円以下
  • 相続した遺産が法定相続分(1/2)以下

であれば相続税がかからないというものです。

また、実家を相続した子の場合でも「小規模宅地等の特例」を使えるケースがあります。

これは、

  • 亡くなった人が住んでいた土地
  • 事業をしていた土地
  • 貸していた土地

について、一定の要件を満たす人が相続したとき、土地の評価額を最大80%オフにできる制度です。

②譲渡所得税・住民税

次に、実家が売れた時は、譲渡所得税と住民税を考える必要があります。

税率は、所得税・住民税の合計で、こうなっています。

所有期間が5年以下の短期譲渡所得…39.63%
所有期間が5年超の長期譲渡所得…20.315%

実家を相続するケースでは、被相続人(親)の取得日を引き継ぐことができるので、長期譲渡所得に該当することが多いです。

税金は「利益」に対して課税されます。

両親が2,000万円で買った不動産を3,000万円で売った場合、利益は1,000万円ですね。

この場合、1,000万円 ✕ 20.315% なので、200万円くらいの税金がかかります。

しかし、当時の契約書などを紛失していて、2,000万円で買ったことを証明できないこともありますよね?

このようなケースは、3,000万円の5%が取得価格と見なされるので、2,850万円が利益と認定されてしまいます。

この場合、2,850万円 ✕ 20.315% なので、570万円くらいの税金がかかります。

税金が大きく違ってくるので、注意が必要です。

なお、相続により取得した土地・建物などを一定期間内に譲渡した場合、支払った相続税額のうち一定金額を取得価格に加算することができます。

2016年の税制改正によって、相続人であっても居住用財産を売却したときに3,000万円の特別控除が適用されるようになりました。

③登録免許税

登録免許税は、相続登記のときに必要となります。

亡くなった人の名義では不動産の売却ができないため、所有権を相続人へ変更することが必要です。

登録免許税は、以下の方法で計算できます。

固定資産税評価額 × 0.4%

固定資産税評価額は、毎年送付される「固定資産税納税通知書」や、市役所で取得できる「固定資産税評価証明書」で確認できます。

計算方法をご紹介します

(計算例)
土地:10,552,600円
建物: 5,500,110円

課税価格は1,000円未満が切り捨てられるため、土地は10,552,000円、建物は5,500,000円となります。

したがって、登録免許税は(10,552,000円 + 5,500,000円))× 0.4% = 64,208円

さらに、100円未満は切り捨てられるので、登録免許税は64,200円となります。

登録免許税の納付は、銀行などの金融機関を通じて現金で納付します。

登録免許税が3万円以下の場合は、収入印紙を登記申請書に貼り付けて提出することもできます。

④収入印紙税

不動産の売買契約書には、収入印紙を貼ることによって税金を納める必要があります。

印紙税の額は契約金額によって異なります。

以下は、2014年4月1日から2022年3月31日までの間に適用されている税額です。

記載された契約金額税額
10万円超50万円以下200円
50万円超100万円以下500円
100万円超500万円以下1,000円
500万円超1,000万円以下5,000円
1,000万円超5,000万円以下10,000円
5,000万円超1億円以下30,000円
1億円超5億円以下60,000円
5億円超10億円以下160,000円
10億円超50億円以下320,000円
50億円超480,000円

収入印紙は、郵便局やコンビニエンスストアで購入できます。

不動産の契約では1,000円を超えるような印紙が必要になりますが、コンビニには額面が大きい印紙は置いていないので、郵便局の方が確実です。

◆まとめ

という訳で今回は、相続した実家を売る迄にかかる4種類の税金について、ご紹介してきました。

制度が複雑なので、専門家の力を借りながら進めていきましょう。

専門家を探すには、例えばこんなサービスがあります

相続税申告での信頼できる税理士選び

不明な点などはお気軽にコメントください。

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